【日時】令和7年10月14日(火)18:30〜21:00[原田さんポートレート]
【場所】茗渓会館
【参加人数】会場:9名、オンライン6名
【話題提供】原田和保さん(2007年 人間学類卒)
S M B C日興証券株式会社
産業・サステナビリティ戦略部産業調査課
ヘルスケア/医薬品担当
担当次長
近年、医薬品の開発・製造力強化が必要なことから創薬ベンチャー、スタートアップ支援の強化が叫ばれています。今回、最前線で活躍するS M B C日興証券株式会社の原田和保さんに話題提供頂き、議論を交わしました。
【デジタルヘルス領域を取り巻く動向とDTx(デジタルセラピューティクス)の現在地】
〈デジタルヘルスの現状と動向〉


多くの企業(医療系・非医療系含む)がヘルスケア事業に注目し投資している。
特に健康予防領域に関心が集中している(規制が少なく参入しやすい)。
技術開発は進んでいるが、市場化にはまだ課題がある。
〈製薬企業のデジタルヘルス戦略〉

主に5つの分野に注力している。
①患者エコシステム(早期発見・治療への連携)
②診断系ソリューション(疾患リスク評価・診断補助)
③遠隔診療と処方(ダイレクトトゥーコンシューマー)
④ペーシェントサポートソリューション(服薬管理・副作用対策)
⑤デジタルセラピューティクス(DTx:デジタル治療薬)
〈デジタルセラピューティクス(DTx)の現状〉

医療機器として承認されたデジタルソリューション。
日本では現在6製品が承認済み(うち3製品が保険収載)。
主に認知行動療法をベースとした介入が多い。
ニコチン依存症、不眠症、うつ病、ADHD等の領域で展開。
〈DTxの課題と限界〉
開発コストが高い(一般アプリ:数百万〜数千万円 vs DTx:数億〜10億円以上)。
保険償還の獲得が難しい(特に客観的バイオマーカーがない疾患)。
ユーザーインターフェース・エクスペリエンスの問題(継続使用率の低さ)。
費用対効果の証明が不十分。
医師の受け入れ度の低さ(特にデジタルに抵抗がある医師)。
〈今後の展望と可能性〉

人間ができることの代替ではなく、人間が届かない領域でのソリューション開発が重要。
例
①急性症状の予測(てんかん発作の予知など)
②投薬管理の自動化(人工膵臓など)
③物理的介入(PTSD患者の悪夢検知・介入など)
デジタルバイオマーカーの開発が今後のカギとなる。
医療機器としてではなく、民生ソリューションとしての展開も検討すべき。
〈業界構造の課題〉


省庁間(厚労省・経産省・財務省など)の方針の違いによる足並みの乱れ。
医療費削減と産業振興の相反する目標の調整が必要。
技術開発と規制のバランスが取れていない。


