一般社団法人 茗渓会

筑波大学同窓会
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2014年12月10日掲載

公開講座「年末年始に楽しむ寄せ植え鉢花の栽培と管理」報告

水戸市植物公園園長 西川 綾子さん

11月29日(土),「年末年始に楽しむ寄せ植え&鉢花」をテーマに,筑波研修センターを会場に茗渓会のつくば公開講座を行ったので,当日の様子をお知らせします。

事務局が地元のタウン誌などを中心にPRを行ったおかげで,定員を上回る応募をいただきました。しかし,当日は久しぶりの大雨になって欠席者が多く,結果としては36?名の参加になりました。また講座を行う機会があれば,受付の際に欠席の場合はご連絡をいただきキャンセル待ちを10名受けるなど,工夫が必要かと思いました。

ところで当日の内容ですが,冬の鉢花「シクラメン」について解説を行った後,簡単な実習を行う。次に「年末年始に楽しむ寄せ植え」の解説後,参加者が実際に寄せ植えを作るという,盛りだくさんの内容でした。園芸は植物に触れてこそ楽しさが倍増するものなので,なるべく実習を取り入れました。有り難いことに,材料などの運搬は事務局が担当して下さいました。

冬の鉢花「シクラメン」について

サクラソウ科の球根植物で,地中海東部からその周辺の島に自生するシクラメン ペルシカム(C.persicum)から改良されました。近世の初め頃からヨーロッパで育種が始まり,日本には明治にC.ネアポリアタムが輸入されロックガーデンに利用されています。

開花株を購入した場合のポイントは,蕾によく光を当てることです。わかりやすく解説するため,自宅で栽培している原種のシクラメンを,参加者にお見せしました。大きな球根の上部から花茎が多数発生し,この部分はよく光りが当たることを観察してもらうためです。市販の株は,蕾が葉に隠れて光がなかなか当たりません。そこで,周囲の葉を上から手で押さえ,中央部分に隠れている蕾が葉よりも上に出る工夫をします。葉が茂っていると陰になる葉は黄化しやすく,間伸びしてバランスが悪くなります。そこで中央部の葉を外側に移動させて,どの葉にも光が当たるようにします。これは葉組みといって,開花が促進されます。この葉組みの作業を,6人の方に体験していただきました。このような実習は初めての方が多く,大変喜ばれたようでした。

寄せ植えの実習

まず寄せ植えを作る際のポイントを紹介しました。光,温度,水はけなど性質が同じ種類を組みあわせる,草丈の違いで立体的にさせ,生長する方向(立ち性,匍匐性)で配置を決めます。根が細い種類(ネモフィラ,など),根が少ない株の根は痛めないようにして植えた方が良い。3ヶ月以上持たせるには,わざと途中で花が終わる1年草を入れれば,それを抜いた後に土を足し,残った株が大きく育つスペースができる,などを説明した後,実習を始めました。

6タイプのコンテナに,草花,用土や土をセットし,受付が早かった人を優先に実習開始です。準備した草花は寒さに強く5月上旬まで花が咲くビオラ,パンジー,キンセンカ,キンギョソウです。そしてウィンターコスモスは1月,ミニハボタンは3月に株を抜き,穴があいた部分は用土を足して他の草花を大きく育てます。

籐のプランターは用土が重いと器が崩れるおそれがあるため,特別な用土としてピートモスとパーライト同量の軽いものを使い,ほかのプランターは市販の用土を使用しました。

  • コンテナの正面を決めて草丈の配置を考える。
  • 花がよく咲いている部分を正面に,花の向きを考えて配置する。
  • 根がはみでないように,丁寧に植える。
  • 表土は軽く押して平らにすると,水をかけたとき根が露出しにくい。

このようなポイントを考えて作成するのは,おそらく初めての方ばかりでした。

ただ植えればいい訳ではありません。育てることを考え,上手にできあがったときの達成感を味わい,また作ってみたい!そんな気持ちになったら,私の指導は成功です。参加者の方が「とっても楽しい。」と顔をニコニコさせておっしゃったとき,筑波まで指導に来てよかった,と私もうれしくなりました。最後は参加者全員が参加するような楽しい雰囲気の中,実習は無事に終了しました。

園芸講座の依頼は多く各地で行っていますが,筑波では初めてでした。現在,朝日新聞の茨城版に「花のある暮らし」をテーマにコラムを連載しているのですが,そのファンだという方が記事の切り抜きまで持って参加して下さり,私としても地元ならではの暖かみのあるうれしい講座となりました。